マイセン磁器購入方法

マイセン磁器の購入の仕方

ポイントその1:一級品であること

マイセンを購入される時の一番大事な点となります。 1級品と2級品、級外品、マイセン以外の窯で絵付けした品とでは、評価額が大きく異なります。マイセンやドイツでは1級品以外の作品は、1級品の半値以下で取り引きされています。また、インターネットのオークション(Ebay.com)やアメリカのオークション(大きなサザビーズから小さなオークションハウス)などに出てきても買い手が付かないケースが多く、たまに落札された場合は、ほとんどのケースが日本人やマイセンを良く知らない初心者であるといった現状です。希に、マイセンを普段使いしたい方や絵付けの勉強の為に落札されるケースもあります。

マイセンの等級について、十分理解をして購入される方は問題ないのですが、理解のないまま売り手の巧みな話術や説明文などに乗せられ1級品以外の品を高い値(買われた方は安い買い物をしたと思っている訳ですが)で購入される事が問題になります。勿論、遅かれ何かの機会にマイセンの等級の事を知り、買い手は悔しい思いをし売り手の事を忘れないものです。このように売り手の方にも長い目で見ればお客様を失う事になり、得策ではないのですが。。。

何でも鑑定団の日本掛け軸のように、多くの方が(90%以上)騙されてしまうような世界は避けたいものです。 このような等級の説明をせずにお客に売る悪質な業者は、海外のアンティークのお店でもよく見かけますし、ヤフーのオークションでも説明文に1級品かどうかの記載を意図的にしていない心無い売り手の方を多く見かけます。また、あえて2級品と呼ばずにアウトレット品と呼んだり、セカンドラインと呼んだりして、不鮮明な呼び方をしますので、説明文を読んで不明瞭な場合は、必ず質問で確認しましょう。

入札前に必ず1級品である事を確かめましょう。 もし、売り手が返事をしない場合は、どんなに素晴らしい作品でも、入札を避けた方が賢明です。

二級品の見分け方

1980年までは、二級品にはマイセンマークに重なるように2本の切り込み線(擦り傷)が入っています。古い作品では、この擦り傷が黄色や褐色に変色していますので、判りやすく写真でも確認できます。ところが新しい作品では写真では判別出来ないほど浅く短い擦り傷ですので、必ず売り手に手で触れて確認するようお願いする必要があります。店頭で買われる場合も、手で触れて切り込み線がない事を自ら確かめる事が鉄則となります。

また、1本の擦り傷がマイセンマークの上下左右のいずれか1箇所に入っている作品も二級品です。 これはマークに気を取られて見落としがちですので、必ずマークの周りも指で触って確認するように売り手にお願いしてください。
2本の切り込み線のサンプル。

1980年以降は、マイセンマークにも周りにも切り込み線はありませんが、マークから離れた高台の縁の近くに青い1本の線が引かれその上に切り込み線が2本あります。見落としてしまいそうな小さなマークですので注意が必要です。
マイセンの1980年以降の二級品のサンプル(矢印の部分に2本切り込み線が入っている)

ここで悪質な業者は、この切り込み線を削ってマイセンマークには切り込み線がないように見せかけたのですが、古い作品の場合はこの部分が変色してきますので、マイセンマークの中央が少し凹み変色しているものは2級品であった可能性が高くなります。新しいものはやはり手で触れて凹みがないかを確かめる必要があります。ただ、マイセンの工場では2級品を手直しし昇級させて1級品にする時、切り込み線を削って消しますので、すべてのケースが悪質なものではありません。
このように切り込み線を削った作品は、2級品の可能性が高いので、避けた方が賢明でしょう。
級外品の見分け方

級外品は、切り込み線の数が3本や4本になります。
2級品は、僅かな不良ですので見ただけでは何が不具合なのか判別は難しいのですが、級外品は明らかな不具合があるものです。
ただ、オークションではこのような作品を従業員への現物支給品と言ったりする場合もありますので、注意が必要です。
絵付けがマイセンでない作品の見分け方
マイセンマークに重なるように1本の切り込み線が入っている(1764年から1938年)またはマイセンマークの右横にたてに一本の切り込み線が入っている(1938年から現代)場合は、上絵付けがマイセン以外の釜でなされたことを示しています。マイセンでは焼いた白地のお皿などを他の釜に売る時に、このような1本の切り込み線を入れます。これらの作品は、マイセンマークがあってもマイセンとは呼べないものです。

1本の切り込み線のサンプル。

古いので黄ばんでいて判りやすい。

ポイントその2:生地も焼きも絵付けもマイセン窯の作品で有ること。

当たり前の事なのですが、この判別も古い作品になると判別が難しくなります。
1.マイセンマークがあること。(マークについては後述のマイセン年表をご覧ください)マイセンマークの年表
青い双剣のマークがマイセンのあかしです。 ただ、マイセンマークは真似がしやすいのでマークだけではマイセンであることの証明にはなりません。 それでも青い双剣のマークがないものは、マイセンとは呼びません。 また、青い双剣のマークがあっても、明らかな偽物のマークと判別出来る物もありますので、サンプルで説明いたします。
明らかな偽物のなかにも、稚拙な物から達者な物まで千差万別なのですが、幾つかの代表的な例を上げてみたいと思います。 ブルーオニオンは大変有名なパターンだけにその偽物も多く、青い楕円の中にマイセンと書いてある物:B.BLOCHの窯の作品です。 作品としては、良く出来ていますが、マイセンではありません。


3つの家のマークにマイセンの文字のサンプル。

絵付けも似せていますが、マイセンではありません。
最近は、中国で作られた粗悪なマイセンの偽物が多く出回っております。
初期の中国製のマークのサンプル

マイセンの双剣のしたにSince xxxx(年号):ヤフーオークションに良く出る中国製の稚拙な偽物です。
少し高級な中国製のサンプル。

最近多くなってきた贋作で、マークの横に赤で数字が書かれています。 作品により数字の位置を変えたりしてそれらしくしています。 作品の出来はかなり精緻になっています。 新しい物なのに古いマイセンマークのボタン剣を使っているのが滑稽ですね。
少しだけ巣赤い数字の位置がかえてあります。上と比較してください。

中国製の花瓶のサンプル。
稚拙な人形の付いた中国製の贋作です。 笑ってしまうような稚拙な人形ですが、陶花はそれらしく作ってあります。 もっと大きな花瓶の贋作も多く出回っています。

ポイントその3:転写ではなく手書きであること

マイセンの磁器の大きな特徴は、絵付けが全て手書きである点です。 では、手書きと転写の場合をどのように見分けるのでしょうか。
まず15倍以上のルーペを使って、絵付けの部分を見てください。 転写の場合は、絵が小さな絵の具の点の集合になっています。 手書きの場合は、絵が絵の具の線から構成され、絵に筆の流れが見られます。
最初の内は判りにくいのですが、一度本物のマイセンをルーペで見てみてください。デパートでもアンティークショップでもかまいません。 その後、転写で大量生産されている身近なな磁器をルーペでみて違いを把握しましょう。
稚拙な贋作は、転写ですのですぐに判別できます。 ただ、古いヨーロッパの窯でマイセンの模倣をして作られた贋作は、全て手書きですので、双剣のマークがあり手書きだからといって マイセンだと100%は言い切れません。 判断するには、出来るだけ多くの本物のマイセンの絵付けを見て、最終的には絵付けで判断する必要があります。

ポイントその4:マイセンの絵付けであること

一番難しいことのようですが、多くのマイセンの絵付けを見ていると自然にマイセンの絵付けが判ってきます。 絵付けの種類によって難易度も上がってきます。 花:一番判りやすい絵付けになります。判別も簡単です。中国製の贋作が多いですね。
果物:少し難しい絵付けで、贋作も減ってきます。
鳥:難しい絵付けです。贋作は少ない絵付けです。
宮廷画:ワトーとも呼ばれ、難しい絵付けです。他の窯が模倣した贋作があります。
動物画:躍動感を表現するため、風景画に劣らないほど難しい絵付けになります。贋作はほとんどみられません。
風景画:動物、人、建物。風景が混在し一番難しい絵付けになります。他の窯が模倣した贋作が多くあります。
柿右衛門調の絵:構図が難しい絵付けになります。贋作は少ないですね。 マイセンの美しい絵付けのサンプルを掲載しますので、ご覧になり、本物の良さを判っていただき、 贋作も見破れる眼を養ってください。
花のサンプル。 豪華な花と金彩が美しいお皿です。 花絵付けは、自然主義的な現代物には無い絵付けです。
輪郭をぼかしたような絵付けをすることで自然な立体感がうまれています。

豪華な華絵付けのサンプル。 華絵付けの量に圧倒される作品です。

典型的な現代物の花絵付けのサンプル。 綺麗に描かれていますが、少し平面的な感じがします。

古いマイセンの花絵付けのサンプル。 最初のサンプルほど自然主義的な絵ではありませんが、現代物より柔らかな色使いが美しさを引き立てています。

古いマイセンのプラチナと金の華絵付けのサンプル。 希少な大変贅沢な絵付けですね。

古いマイセンの果物のサンプル。 秀作の果物のサンプル。 どの作品も美味しそうな果物が描かれています。


古いマイセンの鳥のサンプル。 少し抽象化されていますが、花の絵も自然主義的で美しく素晴らしい絵付けのサンプルです。

現代物のマイセンの鳥のサンプル。 現代物の秀作です。綺麗な鳥ですね。

古いマイセンの単色宮廷画のサンプル。 グリーンを基調に、黒で立体感を出し、部分的に彩色された作品です。 グリーンはマイセンでよく使われる色です。綺麗ですね。

古いマイセンの多彩色の宮廷画のサンプル。 絵を描くように多彩色で描かれた作品です。 点描がのような彩色になります。

古いマイセンの湾岸画のサンプル。 18世紀に好まれて描かれた題材です。 小さな面積に見事な彩色がされています。素晴らしいの一言。

古いマイセンの風景画のサンプル。 コバルトブルーに金彩の窓が付き、見事な風景と人物と犬が描き込まれています。

古いマイセンの宿と旅人画のサンプル。 マイセンの最高級の逸品の絵付けです。 これぞマイセンと言っても過言ではありません。

古いマイセンの動物画のサンプル。 鶉が生きているように描かれた、これもマイセンの傑作です。

鹿が生きているように描かれた、これもマイセンの傑作です。

古いマイセンのメルヘン画のサンプル。 これぞマイセンの遊び心を感じる名品です。

古いマイセンの柿右衛門調の図柄のサンプル。 竹トラを題材にした日本的な構図の作品です。

抽象化された柿右衛門調の図柄が美しいですね。