人形は、昔から魂がこもるとも言われ、家族の一員として見る者に心の安らぎを与えてくる大切な存在です。マイセンの人形はその卓越した造形美と色彩感覚と芸術性において、世界一の人形として多くの人々に愛され続けています。
それだけに、マイセンの人形の偽物や贋作が多く作られるのもまた宿命とも言えるでしょう。
贋物の見分け方は、上のメニューから贋物人形をクリックするか下の贋物の人形の見分け方をクリックしてください。
以下に、本物の人形の場合のマイセンの人形選びのポイントを幾つかの項目別にわけて少し専門的な事も交えて説明させていただきます。
あくまでも私見ですが、これを機会により多くの方にマイセンの人形の選び方に興味を持っていただき、オークションを楽しみながら落札した作品をいつまでも愛していただける一助となれば幸いです。
ポイントその1:マイセン人形は一級品であること。
一級品と二級品(級外品は論外ですが)とでは、評価額が大きく異なります。
マイセンでの売り値で半額以下、アンティーク市場ではさらに厳しく4分の1から5分の1の評価になります。
たとえば、EBAY(アメリカのインターネットオークション)では、二級品や級外品は買い手がほとんど日本人で他の誰も手をだしません。他のオークションでも同じ現象です。勿論、二級品や級外品を安く買い、普段使いにして楽しむ方もおられますので、判っていて買われる方は問題ありません。知らずに高く買ってしまう事が問題です。
オークションでは、残念ながら、1級品であるかどうかを明確に説明しない出品者の方を多くみかけます。
まず、オークションに参加する場合、入札者の方は入札前に必ずこの点を質問した後に入札される事をお勧めいたします。
マイセン人形の一級品の見分け方
人形のマイセンマークを探してください。マイセンのマークは、ベースの裏に刻印されていますが、中にはベースの裏にある場合もあります。
では、2級品や級外品はどのようにしてわかるのでしょうか?
まず、19世紀のマイセン人形はマイセンマークの下に1本切り込み線が入っている(古い作品では、褐色や黄色に変色していますので判別も簡単ですが、新しい作品では写真では判断できませんので、注意が必要です)ものは2級品となります。2本以上は級外品です。
次の3つのサンプルを参考にしてください。
20世紀のマイセン人形では、お皿等で良く知られているマイセンマークに重なるように2本の切り込み線が入っています。この有名な擦り傷は、1980年までで、1980年以降は、マイセンマークに重ねて擦り傷をいれていませんので注意が必要です。マイセンマークの左方のリムの近くにブルーの線を書きその上に2本から4本の擦り傷を入れて、2級品や級外品を示しています。
また、マイセンマークに重なるように1本の切り込み線が入っている(1764年から1938年)またはマイセンマークの右横に縦に1本の切り込み線が入っている(1938年から現代)と、上絵付けがマイセン以外の窯でなされたことを示しています。マイセンでは焼いた白地を他の窯に売る時に、このような1本の切り込み線を入れます。
これらの作品は、マイセンマークがあってもアンティーク市場では、マイセンと呼びません。(先日落札された某デパートの保証のついたマイセンフィギアは、この範疇にはいりマイセン以外で上絵付けされた人形です。)
次の3つのサンプルは、上絵付けがマイセン以外の窯でなされたマークです。
このほかに、マイセンマークに重ねて引かれた擦り傷を削って滑らかにしたマークがありますが、これは売り手が意図的に2級品を隠すために行ったものとマイセンが2級品を1級品に昇格させた時に行ったものの2種類のケースがあります。
この判別は、不可能です(マイセンでの昇格の時も、上薬をかけないため)ので、このようなマークの場合は最悪の場合を考え避けた方が賢明です。
ポイントその2:マイセン人形の年代は古い物ほど価値がある。
1850年以前の人形が1番ですが、多くは美術館品になっており、入手が困難です。また、偽物も多いので注意が必要です。
1850年から1924年(ボタン剣のマーク)が2番で、人形の完成度が一番高く、今一番コレクションしておくべき年代です。
1924年から1934年(ファイファー期)は芸術性豊かな良い作品が多く、3番目の選択になります。
マックス アドルフ ファイファーが、マイセンの製作責任者であった1918年から1933年の間が、マイセンの歴史の中で芸術性が一番高い時期であったというのが、一般的認識です。彼が前の会社から引き連れてきた若い芸術家や外部の芸術家や美術館との共同プロジェクトなどで、新しい芸術に力を入れると同時に古い作品をオリジナルの形に忠実に再現する事にも力を入れた時期でもあります
ファイファー期の点は1924年から1934年ですが、ファイファーが責任者となって素晴らしい作品が多く生み出されましたし、動物関係の人形を作ったOttoPiltzもこの時期に再評価されています。
欧米での評価は、芸術的評価も大変高くかつ希少性もあるため、この時期の作品だけを収集しているコレクターも多くいます。
1934年から1960年(マイセン250年祭)の作品が4番目の選択になります。
食糧にも事欠く状況の中で、マイセン工場は、戦後数年の間に中核となる人々を呼び戻し、次世代の教育についても休むことなく継続された。工場に働く一人一人により質の高い製品を制作することを目標に、全力が傾けられた。
1960年以降は、‘良き伝統から新しき創造へ’をスローガンに国立マイセン磁器工場では、新しい創造活動が開始され、自らの能力に対する正しい評価に基づいて、伝えられてきた原型と文様を目的別に選別し、不断の修練を重ねて制作集団の芸術的・手工芸的技術を高める事が当面の目標となった。
1960年代末に、伝統と創造に的確なコンセプトをもつ博士カール・ペーターマンがマイセンに入所し、新総裁に就任した。ペーターマンにより、最高の技術と品質に基づく伝統の保持と市場における多大な芸術的成果の獲得を目的とした数々の改革が実行された。
その結果、1970年代には、あらゆる分野、あらゆる段階で、マイセン工場の経営体制・品質管理・創造性すべてについて創設以来、最高の水準に達したと言われています。
品質面では優れた作品(新品に近い)がお好きな方のコレクションにはお勧めできますが、アンティークとしてのコレクションの観点からは、あまり意味を持ちません。
このような年代を識別するには、マイセンマークの特徴を知っておく必要があります。次のマイセンマークの年表を参考にしてください。
マイセンマークの年表
ポイントその3:完品に近いものであること。
マイセン人形は繊細で、手や足の指先やつめまできれいな事がその特徴でもあります。それだけに、壊れやすく、オリジナルの状態の人形を見つける事は、年代が古い程、難しくなります。
従って、見た目は完品でも、何らかの補修がある事は、覚悟する必要があります。
ただ、マイセンのその素晴らしさを損なうような補修や破損のある人形は、やはり購入を避けた方が賢明です。
古い美術品には、補修はつきものですが、美術館ではやはりプロの職人にその作業を委ねており、素人目には補修は識別できないものです。同じように、マイセンの人形でもプロの補修がなされても、その存在が判らないようなレベルの人形を選ぶ必要があります。
完品に近い人形とは、小さな花や葉に僅かな欠けがある場合になります。簡単に補修が出来ますし、補修しなくても観賞にも支障がない状態です。また、あえて原型をとどめるため補修をしない場合もあります。
破損のある人形を購入する時は、小さな花や葉のチップは簡単に修理できます。(西洋骨董ののお店に専門の業者を紹介していただくと良いですね)ので、問題ありませんが、指などの繊細な部分の補修は高価になりますので、安価な人形の場合には補修が高く付き過ぎて、人形の値段と同じ位の補修費が発生することもありますので注意が必要です。
もうひとつ重要な点は、部品の欠落が無いかということです。特に、蓋や壷や花のリースや人形そのものがが欠落している作品などは、たとえ完品と説明されていても、実は完品ではありません。
モデル番号を確認し、市販されているマイセンのコレクターズカタログを見て、部品の欠落が無いかをチェックする必要があります。
なんらかの事情で人形を手放すときにも、完品に近いほどオークションなどで高価で処分できます。
ポイントその4:表情のきれいなものであること。
マイセン人形の素晴らしさは、その繊細で美しい造形美に加え、人形の顔の表情にあります。
表情のきれいなものとは、必ずしも美しい顔である必要はありません。
その人形の題材を理解し、その背景にある話の中で人形1つ1つの持つ役割を知る事が大事になります。
その上で人間の喜怒哀楽がどのように表現されているかを評価のポイントとして見て、その役割が見事に演じられている人形(生き生きとした人形)を“表情のきれいもの”と呼びます。
時には、悲しい顔であったり、恐い顔であったりもします。
この顔の表情を左右する大きな要素に目の表情があります。人形の購入をされる時には、必ず人形の目と顔の印象をチェックして、家族の一員として愛してあげられる人形を購入していただきたいと思います。
目鼻立ちがはっきりしないもの、目が死んでいるような印象の人形は避けた方が賢明です。
また、表情を大きく左右するもう一つの要素に、配色があげられます。
顔の配色は、頬の色、髪の色、唇の色に不自然さはないかをチェックします。
加えて、手足の配色にも不自然さはないかをチェックします。
最後に人形全体の配色に不自然さはないかをチェックします。
ポイントその5:絵付けのきれいなものであること。
マイセン人形の絵付けが最終工程になりますが、絵付師の技量により最終的な作品の良し悪しが決まってきます。
特に、肌色の彩色と顔の彩色が大変大切な要素になります。たとえば、現代物のマイセン人形は手先と頬などの重要な部分だけ肌色に菜食し残りは白磁のままの作品が大半です。19世紀の作品になると、肌色は濃淡まで付けながら全体に彩色され、生きた人間の肌を思わせるような彩色になります。また、眼の描き方も繊細な彩色がなされ、現代物のアイシャドウをしたような眼とは違った、人間に近い眼の彩色になります。
また、絵付師が人形にどれだけ多くの時間を費やしたかも大きな要素になります。たとえば、台座のの素晴らしさは、その繊細で美しい造形美に加え、人形の顔の表情にあります。
表情のきれいなものとは、必ずしも美しい顔である必要はありません。
その人形の題材を理解し、その背景にある話の中で人形1つ1つの持つ役割を知る事が大事になります。
その上で人間の喜怒哀楽がどのように表現されているかを評価のポイントとして見て、その役割が見事に演じられている人形(生き生きとした人形)を“表情のきれいもの”と呼びます
時には、悲しい顔であったり、恐い顔であったりもします。
この顔の表情を左右する大きな要素に目の表情があります。人形の購入をされる時には、必ず人形の目と顔の印象をチェックして、家族の一員として愛してあげられる人形を購入していただきたいと思います。
目鼻立ちがはっきりしないもの、目が死んでいるような印象の人形は避けた方が賢明です。
また、表情を大きく左右するもう一つの要素に、配色があげられます。
顔の配色は、頬の色、髪の色、唇の色に不自然さはないかをチェックします。
加えて、手足の配色にも不自然さはないかをチェックします。
最後に人形全体の配色に不自然さはないかをチェックします。